【2026年度税制改正】食事補助の非課税枠が7,500円に拡大!「実質賃上げ」を実現する中小企業の新たな福利厚生戦略

税務お役立ち情報

「従業員の生活を支えるために賃上げをしたいが、社会保険料の負担増が重すぎる……」「物価高でランチ代が1,000円を超える中、社員の財布事情が心配だ」

今、多くの中小企業経営者様がこのような悩みを抱えています。ベースアップ(基本給の引き上げ)は、従業員に喜ばれる一方で、会社側には社会保険料の負担増という「隠れたコスト」が重くのしかかります。

そんな中、2026度税制改正において、「食事補助の非課税限度額」が改正され、大幅に引き上げとなりました。本記事では、この改正について解説します。

42年ぶりの激変!改正で何が変わる?「月額7,500円」のインパクト

今回の改正の核心は、会社が従業員の食事代を補助した際に「給与」として課税されない(所得税・住民税・社会保険料がかからない)上限額が、一気に引き上げられる点にあります。

  • 非課税枠が2倍以上に拡大:現行の月額3,500円(税抜)から、月額7,500円(税抜)へと引き上げられました。
  • 深夜勤務者への手厚いサポート:現物支給が困難な深夜勤務者に対し、現金で支給できる「夜食代」の非課税上限も、1回300円から650円へと引き上げられます。

月額7,500円という数字は、年間で換算すると1人あたり90,000円もの非課税枠になります。これをうまく活用すれば、従業員の実質的な可処分所得を大きく向上させることが可能です

なぜ「基本給アップ」より「食事補助」なのか?コストシミュレーションで比較

経営者として注目すべきは、同じ「7,500円」を渡すにしても、給与(ベースアップ)で渡すのと食事補助で渡すのとでは、会社側の総コストと従業員の手取り額に劇的な差が出るという事実です。

例えば、月額7,500円を増額する場合のシミュレーションを見てみましょう。

比較項目

給与アップ(月7,500円増)

食事補助(月7,500円)

従業員の手取り増加

約4,875円

(所得税・社会保険料で減る)

7,500円まるごと

会社負担の社保料

+約1,125円

±0円

会社の実質コスト

約8,625円

7,500円

給与で支給すると、会社は社会保険料の会社負担分(約15%)が発生し、コストは8,600円を超えます。一方で、食事補助であれば7,500円の支出で済み、従業員の手元にも7,500円相当の価値がそのまま届きます。

【重要】非課税適用を受けるための「2つの絶対条件」

食事補助を非課税にするためには、法人税法・所得税法の定める厳格な要件を「両方とも」満たす必要があります。ここを誤ると、後々の税務調査で「全額給与」とみなされ、源泉徴収漏れや社保料の遡及支払いを求められる大きなリスクとなります。

  • 条件①:従業員が「食事の価額」の半分以上を負担していること
    • 例えば1食1,000円の弁当なら、従業員から500円(ちょうど半分でも可)を徴収し、会社補助を500円以下にする必要があります。
  • 条件②:会社負担額が「月額7,500円」以下であること
    • 「超えた分だけ課税」ではありません。上限を1円でも超えると、会社補助額の全額が給与として課税対象になります。

この判定は非常にシビアです。「なんとなくの計算」ではなく、毎月正確に集計できる仕組み作りが欠かせません。

社員食堂がなくても大丈夫!中小企業が今すぐ導入できる「3つの手法」

「うちは小さいから社員食堂なんて作れない」と諦める必要はありません。現代では、大規模な設備投資なしで食事補助を導入できる選択肢が豊富にあります。

  1. お弁当・仕出しの現物支給(宅配型)
    • 会社が弁当をまとめて発注し、従業員から半額を徴収(給与天引き等)する最もシンプルな方法です。
  2. 食事補助カード・チケットサービス(食事券型)
    • 「チケットレストラン」などの専用ICカードやアプリを導入する方法です。提携しているコンビニや飲食店を「社食」代わりに使えるため、外回りの営業職や多拠点展開している企業に最適です。
  3. 設置型社食・オフィスコンビニ
    • オフィスに専用の冷蔵庫や棚を設置し、惣菜や軽食を常備する方法です。24時間利用可能なため、残業時やシフト制の職場でも公平に恩恵を受けられます。

いずれの手法を選ぶにせよ、「現金でのランチ手当」は原則として非課税にはならない点に注意してください

税務調査で否認されないための実務対策:規程整備と証憑管理

せっかくの節税メリットも、税務調査で指摘されては本末転倒です。顧問弁護士や社労士とも連携し、以下の体制を整えておくことが「鉄壁」の守りとなります。

  • 就業規則・福利厚生規程への明記:口頭や慣行ではなく、対象者、補助額、徴収方法を文書化し、労働基準監督署へ届け出ておくことが基本です。
  • 「食事提供台帳」の作成と保存:誰が、いつ、何回食事をとったのか。購入単価の根拠となる請求書とともに、利用実績を客観的に証明できる記録を残します。
  • 給与明細の適正な表示:支給欄に「食事現物支給額」、控除欄に「食事代本人負担額」を表示するなど、給与ソフトの設計から見直すことで管理ミスを防げます。

実務Q&A:よくある疑問にお答えします

Q1:現金の「ランチ手当」として支給しても非課税になりますか?
A1:残念ながら、現金支給は原則として非課税にはなりません。それは「給与」の一部とみなされ、所得税や社会保険料の対象となります。非課税を狙うなら、弁当の配布や食事カードの支給といった「現物」または「準現物」の形をとる必要があります。

Q2:従業員が50%負担していれば、月額1万円補助しても7,500円までは非課税ですか?
A2:いいえ、全額が課税されます。会社補助が上限(7,500円予定)を超えた場合、その超過分だけでなく、補助した1万円全体が給与扱いになります。この「上限管理」が実務上もっとも重要なポイントです。

Q3:在宅勤務(テレワーク)の従業員に対しても非課税枠は使えますか?
A3:在宅勤務時の食事代は、税務上「日常的な家庭の食費」と区別がつきにくいため、現時点では非課税適用の判断が非常に厳しいのが実情です。出社した日のみに限定して支給するなどの制度設計が必要です。

まとめ:福利厚生を、最強の採用・定着ツールへ

今回の改正は、物価高に直面する従業員にとって、価値のある支援となります。月額7,500円の非課税枠をフル活用すれば、会社側の社会保険料負担を増やすことなく、従業員の実質的な手取り額を年間9万円分も底上げできるからです。

人手不足が深刻化する中、「社員の生活を大切にする会社」というメッセージは、優秀な人材を引き止める強力な武器になります。この好機を逃さず、貴社に最適な食事補助のカタチを一緒に検討していきましょう。

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