2026年4月から健康保険の扶養判定が変更へ!「130万円の壁」はどう変わるのか解説

税務お役立ち情報

これまでの「130万円の壁」である健康保険被扶養者の認定について、収入の判定方法が2026年4月より変更となりました。

従来の「今後1年間の収入の見込み」から「労働契約で定められた賃金(年間収入)」に変更することで、就労調整(130万円を超えそうになったから労働時間を減らす等)を防止し、被扶養者認定の見通しが立ちやすくなります。

「年間収入」に含まれる収入とは

労働契約書に記載された賃金を年収換算して、認定の判断がされます。たとえば、以下のようなイメージです。

時給×週所定労働時間数×52週=理論年収(年間収入)

この年間収入には、契約上明記された固定手当や、支給が確定している賞与も含まれますが、残業手当など契約に明記されていないものは含めません。

なお、労働契約内容を確認できる書類がない・年金や事業所得がある方については、従前どおりの取扱いにより、年間収入を判定します。この場合は会社から給与証明書を発行してもらうか、年金改定通知書・所得証明書等の収入確認書類の提出を求める対応になります。

また、認定対象者が複数の事業所で勤務していた場合は、当該各事業所に係る通知書等の提出を求める必要があります。その上で、各事業所の通知書等に記載された情報に基づき、年間収入の見込額を個別に算定して、これらを合算して年間収入を判定します。

ただし、提出された通知書等のいずれかにおいて労働契約内容による年間収入が算定できない場合(一部の事業所の通知書等しか提出されない場合も含む)は、従来どおり給与明細書、課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することとなります。

臨時収入の取扱い

臨時的な収入(残業手当や賞与など)が発生したことで、年間収入が基準を超えても、社会通念上妥当な範囲であれば、被扶養者の認定を取り消す必要はないとの見解が示されております。

たとえば、繁忙期の残業手当など臨時収入が一時的な支給である場合は問題ありませんが、雇用契約書に「賞与は6月に5万円、12月に10万円支給」のように明記されている場合は、年間収入に含める必要があります。

しかし、所定時間数を少なく表記し、残業手当を毎月常態的に支給するなど、雇用契約内容の賃金が不当に低くなるようにした場合は、被扶養者の認定がされない・または外れる取扱いがされることがあるため、実態に合った雇用契約書の作成が求められます。

被扶養者の認定の適否に係る確認

被扶養者の認定後1年以内に被扶養者の認定の適否に係る確認を行う必要はありませんが、2年目以降は少なくとも年1回は保険者において被扶養者の認定の適否に係る確認を行い、被扶養者の要件を引き続き満たしていることを確認する必要があります。

なお、被扶養者の認定の適否に係る確認においても、認定時と同様に通知書等を確認することにより実施しますが、その実施にあたっては、その時点における最新の情報が記載された通知書等の提出を求める必要があります。

通知書等が存在しない場合には従来どおり給与明細、課税(非課税)証明書等を確認することとなります。

また、通知書等により認定の適否の確認を実施する場合においても、認定から1年経過後であれば実際の年間収入との乖離を確認するために給与明細書、課税(非課税)証明書等の提出を求めてもよいとされています。

年間収入の基準

認定対象者

要件

収入

下記以外

130万円未満

19歳以上23歳未満

配偶者を除く

150万円未満

60歳以上・障害者

障害厚生年金を受けられる程度の障害であること

180万円未満

上記の基準を満たし、かつ、以下のいずれかに該当することが要件となります。

  1. 同一世帯の場合:被保険者の年間収入の半分未満
  2. 別居世帯の場合:被保険者からの仕送り額より収入が少ない

まとめ

上記の内容から、実際の実務において求められることは下記事項となります。

  • 従業員から扶養の申出があれば、その親族の雇用契約書の提出を受ける

  • 雇用契約書の提出を受ける際は、年間収入見込み額も確認する

今回の改正は、パート社員の就業調整(働き控え)を防ぐ趣旨があるものと思われます。
最低賃金が上がるなか、人手不足で困る企業と扶養基準内で働こうと考えるパート社員の間で曖昧になっている認定基準を明確化することは、双方にとってメリットのある改正ではないでしょうか。

出典:
<労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)について(令和8年3月9日事務連絡)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260310S0010.pdf

免責事項:

本記事の内容は2026年4月現在の法令・公表資料に基づいています。今後の法改正や通達により、取り扱いが変更される可能性があります。最終的な税務判断や個別の事案への適用については、必ず税理士にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました