「従業員の生活を支えるために賃上げをしたいが、社会保険料の負担増が重すぎる……」「物価高でランチ代が1,000円を超える中、社員の財布事情が心配だ」
今、多くの中小企業経営者様がこのような悩みを抱えています。ベースアップ(基本給の引き上げ)は、従業員に喜ばれる一方で、会社側には社会保険料の負担増という「隠れたコスト」が重くのしかかります。
そんな中、2026度税制改正において、「食事補助の非課税限度額」が改正され、大幅に引き上げとなりました。本記事では、この改正について解説します。
今回の改正の核心は、会社が従業員の食事代を補助した際に「給与」として課税されない(所得税・住民税・社会保険料がかからない)上限額が、一気に引き上げられる点にあります。
月額7,500円という数字は、年間で換算すると1人あたり90,000円もの非課税枠になります。これをうまく活用すれば、従業員の実質的な可処分所得を大きく向上させることが可能です。
経営者として注目すべきは、同じ「7,500円」を渡すにしても、給与(ベースアップ)で渡すのと食事補助で渡すのとでは、会社側の総コストと従業員の手取り額に劇的な差が出るという事実です。
例えば、月額7,500円を増額する場合のシミュレーションを見てみましょう。
|
比較項目 |
給与アップ(月7,500円増) |
食事補助(月7,500円) |
|
従業員の手取り増加 |
約4,875円 (所得税・社会保険料で減る) |
7,500円まるごと |
|
会社負担の社保料 |
+約1,125円 |
±0円 |
|
会社の実質コスト |
約8,625円 |
7,500円 |
給与で支給すると、会社は社会保険料の会社負担分(約15%)が発生し、コストは8,600円を超えます。一方で、食事補助であれば7,500円の支出で済み、従業員の手元にも7,500円相当の価値がそのまま届きます。
食事補助を非課税にするためには、法人税法・所得税法の定める厳格な要件を「両方とも」満たす必要があります。ここを誤ると、後々の税務調査で「全額給与」とみなされ、源泉徴収漏れや社保料の遡及支払いを求められる大きなリスクとなります。
この判定は非常にシビアです。「なんとなくの計算」ではなく、毎月正確に集計できる仕組み作りが欠かせません。
「うちは小さいから社員食堂なんて作れない」と諦める必要はありません。現代では、大規模な設備投資なしで食事補助を導入できる選択肢が豊富にあります。
いずれの手法を選ぶにせよ、「現金でのランチ手当」は原則として非課税にはならない点に注意してください。
せっかくの節税メリットも、税務調査で指摘されては本末転倒です。顧問弁護士や社労士とも連携し、以下の体制を整えておくことが「鉄壁」の守りとなります。
Q1:現金の「ランチ手当」として支給しても非課税になりますか?
A1:残念ながら、現金支給は原則として非課税にはなりません。それは「給与」の一部とみなされ、所得税や社会保険料の対象となります。非課税を狙うなら、弁当の配布や食事カードの支給といった「現物」または「準現物」の形をとる必要があります。
Q2:従業員が50%負担していれば、月額1万円補助しても7,500円までは非課税ですか?
A2:いいえ、全額が課税されます。会社補助が上限(7,500円予定)を超えた場合、その超過分だけでなく、補助した1万円全体が給与扱いになります。この「上限管理」が実務上もっとも重要なポイントです。
Q3:在宅勤務(テレワーク)の従業員に対しても非課税枠は使えますか?
A3:在宅勤務時の食事代は、税務上「日常的な家庭の食費」と区別がつきにくいため、現時点では非課税適用の判断が非常に厳しいのが実情です。出社した日のみに限定して支給するなどの制度設計が必要です。
今回の改正は、物価高に直面する従業員にとって、価値のある支援となります。月額7,500円の非課税枠をフル活用すれば、会社側の社会保険料負担を増やすことなく、従業員の実質的な手取り額を年間9万円分も底上げできるからです。
人手不足が深刻化する中、「社員の生活を大切にする会社」というメッセージは、優秀な人材を引き止める強力な武器になります。この好機を逃さず、貴社に最適な食事補助のカタチを一緒に検討していきましょう。
「目まぐるしい税制改正のなか、自社が正しく対応できているのか不安……」
「税理士から積極的なアドバイスがなく、節税対策はいつも後手に回っている」
このようなお悩みはございませんか?
税理士法人キャシュモの税務顧問なら、定例会議で法改正を常に報告&税務相談は回数無制限!
キャシュモグループは税務・労務・財務・経理代行をワンストップでご支援できるのが強みです。
もし税務に限らず、バックオフィス全体でお困りごとがございましたら、ぜひお気軽に無料相談をお申し込みください。
キャシュモグループのサービス資料はこちらからダウンロード可能です。