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「従業員50人の壁」を成長のチャンスに変える - FOLIO

作成者: FOLIO|Jun 29, 2026 11:03:32 AM

ビジネスが順調に拡大し、従業員数が50人の大台に近づくと、経営者が直面するのは「活気」だけではありません。法律が求める「組織としての責任」が、次の段階へと切り替わるタイミングでもあります。

50人を超えた時に何が起きるのか、押さえておくべきポイントを整理します。

「50人の壁」で突きつけられる安全配慮義務

従業員が50人を超えたら、会社は「家族経営の延長」を卒業し、「社会的な公器」としての管理体制を義務付けられます

  • 専門家の視点を取り入れる
    産業医や衛生管理者、業種によっては安全管理者を選任・配置をし、毎月1回、(安全)衛生委員会等を開催しなければなりません。単なる書類手続きや会議の実施ではなく、専門家の目を入れることで、メンタルヘルス不調による離職や労働災害のリスクを未然に防ぐ「守りの投資」となります。

  • 心の健康診断(ストレスチェック)
    年1回の実施が義務化されます。これは組織の「風通しの良さ」を数値化するチャンスです。高ストレス者が多い部署があれば、それはマネジメントに課題があるという経営へのアラートかもしれません。

 50人になったら「労働基準監督署への報告」が義務に 

49人までは「実施」だけで済んでいた健康診断ですが、50人を超えた瞬間から「定期健康診断結果報告書」の提出義務が生じます

  • 報告の重み
    毎年1回、定期健康診断実施後に労働基準監督署へ報告しなければなりません。これは単なる事務作業ではなく、「自社は従業員の健康管理を適切に行っている」という公的な証明となるものです。
    ※ストレスチェックも報告義務あり。

事後措置の徹底
定期健康診断実施後に忘れがちなのは、診断結果に基づき就業制限などの「医師の意見聴取」を行うことです。万が一、過労死や健康障害が発生した際、この措置を怠っていると、企業の安全配慮義務違反として責任を問われることになります

 「休ませ方」の質が、定着率と生産性を左右する 

50人という組織規模になると、個々の裁量に任せていた「休憩」のあり方も、法的・戦略的な見直しが必要になります。

  • 「休養室」の設置義務
    労働安全衛生規則により、常時50人以上(または女性30人以上)の労働者がいる事業場では、「臥床(がしょう)できる休養室または休養所」を男女別に設置することが義務付けられています。これは、『体調不良者が一時的に横になれるスペースを確保せよ』、というものです。

  • 「休憩所」はコストか、投資か
    50人規模になると、デスクで食事を済ませるスタイルには限界が来ます。リフレッシュできない環境は、午後のパフォーマンス低下やミスを誘発します。現在、検討されている「勤務間インターバル制度」や「つながらない権利」の議論も、根底にあるのは「質の高い休息」の確保です。

経営者として考えるべきは、単に「場所を作る」ことではありません。「しっかり休める文化」をハード(設備)とソフト(制度)の両面で整えることです。清潔でリラックスできる休憩スペースは、社員同士の偶発的なコミュニケーションを生み、組織の風通しを良くする「第二の会議室」としても機能します。

 「社会保険」というコスト増にどう立ち向かうか 

2026年10月には、短時間労働者の社会保険加入要件の1つである賃金月額8.8万円以上(いわゆる「106万円の壁」)が撤廃されます。50人前後の企業にとって、法定福利費の増加は利益を圧迫する要因になり得ます。

しかし、これは逆手に取れば「社会保険完備」を武器に、より安定し優秀な人物を確保できる好機でもあります。手取り額の減少を懸念するスタッフに対し、私傷病により働けなくなってしまった場合に給付される傷病手当金等の生活保障や、万が一障害を負ってしまった場合の障害年金等の保障、また将来の年金受給額アップなどのメリットを丁寧に説明できるかどうかが、定着率の鍵を握ります。

経営者が今、準備すべきこと

「50人」はゴールではなく、100人、300人へと続く通過点です。以下の3点を、検討し、準備を進めておきましょう。

  1. 有資格者の育成
    社内に「安全管理者」や「衛生管理者」の資格を取らせる候補者がいるか
  2. コストの試算
    社会保険料の会社負担増を反映した次年度予算の策定
  3. 対話の場作り
    義務となる「安全衛生委員会」「安全委員会」、「衛生委員会」を、形式的な会議ではなく、現場の声を吸い上げる場として設計する

法令遵守(コンプライアンス)を「コスト」と捉えるか、「組織を強くする基盤」と捉えるか。その視点の差が、数年後の企業の成長格差となって現れるはずです。

 

免責事項:

本記事の内容は2026年4月現在の法令・公表資料に基づいています。今後の法改正や通達により、取り扱いが変更される可能性があります。最終的な税務判断や個別の事案への適用については、必ず税理士にご相談ください。

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